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NPO法人DSS 設立目的



現在の日本では、社会的な学業への期待感・成績評価への信頼感の低さが 大学生のレベル向上、大学教育レベルの向上を阻害しています。
その根本的な原因が、大学教育と就職活動における負のスパイラルの存在です。
DSSは、企業による採用場面での履修履歴の活用を促進することを通じて、 大学生が学業に力を入れることが報われる社会を実現させることを目指します。


学業への期待感・成績評価への信頼感の低さ


日本においては、就職と教育の当事者である企業・大学生・大学教員が、 学業(特に文系)に対してあまり期待せず、成績評価も信頼していない傾向があります。 また、当事者だけでなく、社会の風潮としても期待していない傾向があります。
具体的に、それぞれは下記のような発言や行動をしがちです。




大学教育と就職活動における「負のスパイラル」


企業・学生・大学教員がそれぞれのメリットを考えて行動した結果、その行動が他者に影響し、 結果的に自分にも影響を及ぼすという「負のスパイラル(循環)」が、大学教育および就職活動において 発生しています。
この「負のスパイラル」は、社会全体の学業への期待感・成績評価への信頼感の低さに起因しています。





多くの企業は採用活動において、履修履歴を積極的に活用していません。
大量の応募者を集め、まずは市販のテストやエントリーシートで足切りをし、 面接等においては課外活動での取り組みを中心に質問をする傾向があります。


学生にとっては、課外活動に力をいれることが将来(採用選考)に向けて重要になります。
学生はアルバイト・サークル・ボランティアやインターンシップでの実績の方が、 企業から評価されるらしいと考え、課外活動に時間を割くようになります。
また、それぞれの企業の採用選考方法を研究し、その対策に力を入れる傾向も強まります。
「大学で学んだことは社会で役に立たない」といった、先輩たちのアドバイスも少なくないでしょう。

結果、大学の授業は楽に単位が取得できる授業を選択する等して、できるだけ時間を使わずに 卒業しようとする傾向が強くなります。


学生の力を伸ばそうと厳正な指導や評価を行おうとする教員(授業)が、学生から敬遠されることが多くなります。
単位取得を第一目的とする学生が多く、授業内容や指導を充実させても履修を敬遠されるとなれば、 教員は授業に力を入れるよりも、自分の研究に時間を割く傾向が強くなるでしょう。


指導や評価の質が低くなってしまった授業に、学生は魅力を感じなくなり、ますます授業離れが進みます。


企業にとっては、学業に力を入れていない学生が多く、評価への信頼度も低いため、採用選考において 学業での取り組みは参考にしにくくなります。

適正な採用選考を行うためには、大量の応募者を集め、独自に選考を行っていく必要があるため、なるべく早くから選考を開始しなくてはならなくなります。 また、面接では、話が聞きやすい課外活動が話題の中心に・・・

こうして、学生はますます課外活動のみに力を入れるようになっていきます。





企業の履修履歴活用を促進することで、大学成績の信頼度は向上するのか?


「負のスパイラル」を解消するには、企業の採用選考において、学業における取り組みに関心を持つことが必要です。
具体的には選考早期に履修履歴を取得し、面接において学業での行動を必ず確認すること(履修履歴活用)が必要となります。 それによって、「負のスパイラル」が下記のような「正のスパイラル」へと変化します。



企業は、選考の早期に履修履歴を取得し、面接において学業での行動を必ず確認する。
評価の厳正な授業には、より関心を持つ。
*DSSでは大学成績データサービスに登録されたデータを集計し、評価のバラツキ(評価分散)や平均値を「見える化」しています。 これにより、社会的に「評価の厳正な授業」や「大学・学部ごとの成績評価の傾向」に関心がもたれやすくなります。


力がつきそうな授業・将来に役立ちそうな授業等を履修する、出席している授業は真剣に受ける、一定の予習復習をする など、学業にも力を入れる学生が増加する。
さらには、 厳正に評価をしている授業において、より努力するようになる。


学生が厳正な評価をする授業において真剣に取り組むことにより、大学教員も授業で真剣に指導・評価をするようになる。 教育に対するモチベーションが上がり、教育に力をいれる教員が増加する。


学生にとって有意義な授業が増え、より学業に力を入れるようになる。


企業にとっても学業への期待感・成績評価への信頼感は向上し、正のスパイラルが作られる。


DSSでは㈱大学成績センターと協力し、採用選考時に履修履歴を活用しやすくすると同時に
「評価の厳正な授業」「大学・学部の成績評価の傾向」等を見える化していきます。





大学生が学業に力を入れることが報われる社会


大学生が学業に力を入れることが報われる社会は、大学教員にとっても教育(指導と評価)に力を入れることが報われる社会です。
そのような社会になると、現在生じている就職活動の問題が解決されるだけでなく、下記のような様々な変化が起こります。

・(大学受験時の努力だけではなく)通った大学での学業に対する努力も評価される
・社会人になってから、大学で学んだ結果が再評価される
・上位の大学に入学した後も、学ぶ努力は続ける学生が増える
・日本の大学での成績が海外で評価され、相互の留学が活発になる